世界観
【神話】
むかしむかし
この世界には七つの月と荒れた大地、飢えた民のみが存在していました。
夜もなく、朝もなく、命の終わりもない世界で……
民は殺し合い、奪い合い……いつしか、神への信仰すら失っていました。
神の愛すら失ったこの世界に、やがて七つの月が順に落ちはじめます。
まさしく世界滅亡の時……異世界から舞い降りたのが、創世四神さまです。
滅びゆく世界と死にゆく民をかわいそうに思った四神さまは
民と世界に救いの手を差し伸べます。
まず金の鬼神さまが、民が眠れるよう、安めるよう、暗い夜を授けました。
次に赤の死神さまが、すべての民に救いをもたらすため、死と輪廻を授けました。
最後に青き狼神さまが民に知恵を与え、そして、その身をもって、この大地に尽きることなき豊穣を授けました。
創世に伴いうまれた
四大属性の神さまたちの祝福も受け
この世界は生命が住める世界になりました。
そして最後に、この世界がもう神さまをを失うことがないよう、
神さまたちの血を引く特別な種族をこの世界に残してくださりました。
……この世界を救ってくださった神々は、いつでもご子孫とともにこの世界を見守ってくれているのです。
この世界、カンナビに穏やかな風が吹くのは、この世界が神々に愛されている、まぎれもない証であって。
四色の羽根車が回る限り、この世界は神さまたちの存在のもとに、平和なのです。
……「良い子のための神話」より
◆カンナビ(神那弥)
南側に山脈の続く楕円形の大きな大陸(中央大陸、東大陸とも)と、西側に小さな大陸(西大陸)がひとつの世界。それ以外は海があるのみだが、中心大陸から一定以上離れようとすると不思議な力で干渉が阻まれる。また、本土以外の小島に集落が築かれること等は基本的にない。
非常に大きな大陸であるのにも関わらず、どこにいても時差がない。さらに季節の訪れも「季節の儀」を境に同時。死神花街カヒョウに至っては一年中花が咲き乱れ、一日は夕と夜しか存在しない。西大陸に至っては一年に渡り夜が明けることはないという。これらを含むさまざまな不思議な現象はすべて「神の力」であり、当たり前に受け入れられている。
世界は一万年以上昔に統一されており、当時の名残で今でも九つの領に分かれている。神の領域として探索不可能な箇所を除き、世界の隅々まで探索がなされている。
◆文化
全体として、いわゆる中世的というよりかは近代寄り(現代日本を基準として見た場合)。
この世界の民は基本的に「カンナビの民」と呼ばれ、ほとんどが何らかの動物の特徴を持ち、全ての民があたりまえに魔力を持ち、魔法を使うことができる。(現代日本に居るような「人間」は存在しない)
このように魔法が当たり前に存在するため、それによって発展してきた。故に魔力を動力源にした魔道具や補助器などが多い(特に都市部などでは現代日本の家電製品のような魔道具も多い)。
またメタ的(現代日本的)に言うと「和風」がベースの世界。これは命名、建築物、衣装等さまざまな分野に色濃く残っているが、しかしこの世界風に進化を遂げているので、あくまで現代日本での「和風」「和服」などの認識とは大きく異なる場合がある。
神話から来る、「大地そのものが最高神の身体である」という信仰から、あらかじめ定められた土地以外にあらたな居住区、農業区等が開拓がされることはない。
故に、文明の発展度のわりには非常に自然豊かな世界となっている。
◇農業
獏種の種族都市アラヒでは稲作や畑作、野菜の路地栽培などの耕種農業、牛種の種族都市ヒコバエでは畜産農業、蝶種の種族都市ミアレギでは温度管理した環境で果樹の栽培や観賞用花の栽培、草花の品種改良など、神鬼領や霊蝶領を中心としつつもカンナビの大部分で行われている。前項での理由から新たな農地を開拓することはなく、決まった農地をローテーションするかたちで農業を行っている。
神の加護により毎年一定以上の収穫が約束されており、大凶作などは基本的に起こらない。また魔道を組み込んだ農具の発達により、農家の負担は減っている。
種苗や植物関係の取引はオクツキの春の儀、子畜など畜産関係の取引がクダラの西方大市でされるのが、それぞれの分野での最大のイベントとなる。
◇狩猟
これもまたカンナビの大部分で行われているが、四玄領でさえ行われている農業とは違い主に自然豊かな辺境で行われている。大森林地帯や熊種の種族都市ミガミヤでは森の獣の狩猟が盛んであるし、獅子種の種族都市ヒリンや四大都市のヒトリガなどでは漁業が盛んに行われている。
近年では獣肉のブームが起こっており、美味しい食べ方・加工方法が各地で模索されている。
◇建築
地属性魔法、魔術、魔道具の発達により、比較的容易に建築が可能となっている。しかし信仰の都合上決まった土地にしか建設できない上、建物の大きさはおおまかに六階が高さの限度、地下は二階までなど色々な規制がある。
街灯や家の明かり、一部の家電魔道具などは魔力精製炉により生み出される人工魔力で賄われている。さらに、下水を含む水まわりなどもしっかり整備されており、街は清潔に整えられている。
◇服飾
いわゆる「和風」がベースにあるカンナビ東大陸だが、過去幾度もの異世界文化流入によりブレザーやシャツ、スーツをはじめとしたいわゆる洋服も存在し、それなりに多くの民に好まれている。ただし長い歴史の中でカンナビナイズされているため、「東大陸風」とされる衣装は一見洋風に見えてもすべて衣装の合わせ目は左前となるなど、細かな特徴がある。(一応、西大陸にはカンナビナイズされていない洋服が存在する)
また、カンナビの衣装はすべて特殊な魔道繊維で紡がれている。獣に形態変化すると元着ていた服は一見消えたように見えるが、しかし再びヒトの姿になると元通りに服を着ている。故に形態変化のたびに服が破れる、服が脱げるなどということは起こらない。
◇教育
◇医療
カンナビ民は人間よりも基礎回復能力がとびぬけており、回復魔法も存在する。しかしそれとは別に医学、薬学等はしっかりと発達している。さらに回復魔法が使える種族は現状ほぼ途絶えているために研究が進み、また手術用のものなど医療魔道具も多く発展を遂げ、(ある程度の大きさがある都市ならばだが)現代日本より少し遅れている程度、と考えられる(辺境になると近代的な医療よりもまじないの方が信用されていたりなど、遅れている)
◇言語
言語は一万年以上前に統一されている。カンナビ全土で同じ言語が通じ、同じ文字を書く。それぞれの種族に種族言語といわれるものは存在し有志によって守られているが、一般的に必要とされない能力である。
ちなみに時たま現代日本の単語や単位を登場人物が口にし、現代日本の文字を使うことがあるが、それはこの世界でも何らかの理由により同じものが使われている(※世界観補足に記述アリ)か、現代日本の人間が読むにあたり専門用語が多いとわかりにくいため、実際は違うものを言っているが変換されているかのどちらかである。
◇その他
天文学や航空工学などほぼ手つかずの分野も存在するが、上魔道具の発達によりそれなりに開拓されている分野もある。
→世界観補足
◆神/信仰について
◇創世四神
学問、厄除け、災い除け、幸運なども司るといわれ、浄化の力を持つ。
金運、商売、産業の繁栄、長寿、縁結び/縁切りなどをを司るともいわれる。
愛(家族愛)、誕生(子授け)、安産、夫婦円満、子孫繁栄、また昇格や昇進などを司るともいわれる。
恋、旅路の守護、病、魔なるもの、災厄、暗闇などを司るともいわれる。
余談だが、特に旅人は旅路の中でこの乙女の神の機嫌を損ね、災厄に見舞われるようなことのないよう礼を尽くして祈る傾向にある。